中学2年生の少年 蒼月潮(あおつきうしお)は自宅の蔵の地下室に落っこち、そこで槍が突き刺さった妖怪「とら」に出会う。
獣の槍を引き抜いたところから人生が大きく動き出す。
日本中の妖怪が忌み嫌い破壊しようと襲いかかる「獣の槍」。ただの僧侶ではなかった父親と、仏教団体・光覇明宗の裏の仕事。亡くなったはずの母の秘密。物語が進むにつれて、それぞれの深い関わりと長きに渡る宿命が明らかになっていきます。
真正面からぶつかり、お互いを理解し合っていく。
不器用でまっすぐな潮は自分が良いと思ったことを躊躇わずに実行に移すため、多くの人や妖怪とぶつかることになります。好奇心旺盛で傍若無人なとら、幼馴染みの麻子と真由子、妻と娘を殺した妖を追って日本にきた鏢(ひょう)、獣の槍を憎む妖怪達、妖怪と対峙し獣の槍を守るために動く光覇明宗の僧侶達、獣の槍の伝承者候補者達、・・・。相容れない立場だった者とも真正面から向き合うことでお互いを理解していく。そういうところも本著の魅力のひとつです。
圧倒的な力を持つラスボス「白面の者」
成長したくさんの仲間もできた潮ととらですが、最強最悪の大妖怪が立ちはだかります。力のない者は圧倒的な力で惨殺し、力のある者には狡猾に忍び寄って利用し、弱り切ったところで襲いかかり、人間も妖怪も恐怖のどん底に陥れる。狡猾な罠によって人間と妖怪は分断され、潮は一人きりになり、唯一の希望である「獣の槍」も破壊される。
それでも前に進む。
どんなに困難な状態になっても、周りの人々を守るために潮は動き続け、「白面の者」に向かっていきます。バラバラになっていた「とら」とも合流し、最終決戦が始まる。単行本33巻+外伝1巻の大作ですが、息つく暇もなく一気に読んでしまいます。まだ読んだことがないという方は是非読んでください。
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