【おすすめ本5】マシュー・サイド著「失敗の科学」 書評

おすすめ本

 「失敗から学ぶことが大切」だということは誰もが知っているけれど、実際にできている人や組織は少ない。なぜそうなるのか、どうしたら「失敗から学ぶ」ことができるようになるのか、が本著には書かれている。

我々は「自分自身」から失敗を隠す。

 誰だって失敗するのは嫌だ。そして、経験を積んで役割や地位が高くなればなるほど、失敗を認めるのは困難になり、「失敗から学ぶ」よりも「隠蔽する」「バレた時は誰かのせいにする」ことを選択しがちになる。

 本著では「失敗から学ぶ」システムが最も進んでいる航空業界と旧態依然の医療業界との比較を軸に、多くの事例を通して「失敗」の本質に言及していく。

すべてを「失敗ありき」で設計せよ

『あなたは判断を間違えることがありますか?
自分が間違った方向に進んでいることを知る手段はありますか?
客観的なデータを参照して、自分の判断の是非を問う機会はありますか?

 すべて「いいえ」と答えた人は、ほぼ間違いなく学習していない。これは、自明の理だ。モチベーションや熱意に問題があるわけではない。問題は、暗闇でゴルフの練習をしているその「やり方」にある。・・・』
(マシュー・サイド著「失敗の科学」321ページ 終章 失敗と人類の進化 より引用)

 まず自分が失敗する可能性があるということを認める、失敗したことに気づく、なぜ失敗したのかを考え次に活かす。解決方法は至ってシンプル。それだけ言われたら「・・・それは分かっているんだけどなー」となりますが、本著はもう一つ重要なことが書かれています。

「失敗」に向き合い、困難を乗り越えた人々がいる。

 勇気を振り絞って困難に立ち向かった人々の体験談を読むことで、私はエネルギーをもらえました。また読みたいと思います。

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