平治の乱に源氏方として加わった主人公の草十郎。平氏の大軍勢が発するときの声に応じ、源氏方も腹の底から声を絞り出してときの声を上げる。ふと振り返ると、総大将の藤原信頼は青ざめふるえ、馬に乗ろうとするが反対側に落下してしまう。
「おい、遅れるなよ、笛吹き」
・・・私は最初の数ページで、完全に主人公と同化してしまいます。敗戦、逃走、捕縛、鳥の王との出会い、舞姫と笛の調べ、源頼朝奪還作戦、白河上皇の圧力、神隠し、そして黄泉がえり。物語は息つく暇なく流れていきます。
命をかける価値のあるモノは何か?
当時の武士の常識は、先祖代々受け継いできた領地を命をかけて守り抜く「一所懸命」。武家で育った草十郎にとってもそれが”当たり前”でしたが、戦に敗れたことで「どう生きるか」を考え始め、多種多様な人々との交流を通して”自分の人生”を見つけます。そして、最後に草十郎が命をかけて得たモノは・・・。
何回読んでも最後まで一気に読んでしまいます。歴史好きの方には特におすすめです。
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